成層流体


成層状態の作り方

水溶液の密度を連続的に変化させるためには, この図のように, 真水と食塩水等の水溶液を入れた同じ大きさのタンクを接続し, 真水側のタンクの中をよく撹拌しながら, その水を水槽の底面付近から入れると, 密度が直線的に変化する状態が作れる. もちろん, これとは逆に重い水から注入することもできるが, その場合にはフロート等を用いて注入口を水面の上昇とともに 動かさなければならない.

この方法は, 二つのタンクの底面 (パイプの接続口) での圧力が等しくなるように, 準静的な状態を保つことを前提としているので, 2つのタンクをつなぐパイプは, できるだけ太くかつ短い方がよい. ただし, 太いパイプを直線的につなぐとパイプの上側から真水が逆流してしまうので, この部分はU字型に曲げておく. また, 水槽に入れるスピードが速いと混ざってしまうので, これを防ぐために注入口付近に目の荒いスポンジ等をおいて注入口から出てきた 水の運動エネルギーを吸収するようにするとよい. (水がしみ出してくるスポンジの面積が広くなるようにする. パイプにスポンジを詰めても意味はない. )

成層強度の測定

成層強度 (密度勾配) を測定するには, 各層のサンプルをとって塩分濃度を測るのが最も簡単で, 内部重力波,QBO の実験ともに, 最後に注入した塩水 (最後に攪拌タンクに残っていた塩水) の密度を測定して平均的な密度勾配を求めた.

しかし,局所的な成層強度の分布を調べるには, 近接した層の密度差を比較しなければならず, 必要な精度を確保するのはなかなか難しい. そこでレーザーを水平に成層流体中に入射させ, その屈折角度から成層強度の分布を求めた. この方法では密度勾配の絶対値を精度よく求めるのは難しいが, 密度勾配の相対的な分布を, 広い範囲で簡単に非接触で直接測定できる.

実際の測定では,基準ビームを確保する必要があるので, 一本のレーザー光をシリンドリカルレンズ (またはガラス棒) を 通してシート状にし, 水槽の手前と後方にそれぞれ1枚ずつ鏡を置いて, それぞれの鏡で反射されて返ってくる光の差を測定した.