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: 一般的な場合の MPDATA : 2 次元 の計算 : 計算例: MPDATA   目次

計算例: FCT

FCT を用いて同様の計算を行なった. FCT の一般形は例えば 2 次元の場合 次のように表される.


$\displaystyle \psi _{i,j}^{n+1}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \psi _{i,j}^{n} -
\{[CF_{x}\cdot FH_{x}+(1-CF_{x})\cdot FL_{x}]_{i+\frac{1}{2},j}$  
    $\displaystyle - [CF_{x}\cdot FH_{x}+(1-CF_{x})\cdot FL_{x}]_{i-\frac{1}{2},j}\}$  
    $\displaystyle - \{[CF_{y}\cdot FH_{y}+(1-CF_{y})\cdot FL_{y}]_{i,j+\frac{1}{2}}$  
    $\displaystyle - [CF_{y}\cdot FH_{y}+(1-CF_{y})\cdot FL_{y}]_{i,j-\frac{1}{2}}\}$ (34)

ここで $FH_{x}, FH_{y}$ は高次精度(例えば 2 次中心差分)で求めたフ ラックス, $FL_{x}, FL_{y}$ は低次精度(例えば上流差分)で求めたフラッ クス, $CF_{x}, CF_{y}$ は補正係数(Corrective Factor)と呼ばれる係 数である. FCT は Boris and Book(1973, 1976), Book et al.(1975)に よって提案され, Zalesak(1979) によって一般形が示された. 補正係数 の決めかたは Zalesak(1979) にその詳細が述べられている. ここでは高 次精度に 2 次中心差分, 低次精度に上流差分を用いた.

まず補正係数を $CF_{x}= CF_{y}=0.8$ と固定して計算を行なった. 1 回転後(628ステップ)と 3 回転後(1884ステップ)後の結果を Fig.8とFig.9にそれぞれ示す. 上流差分と比べ 初期分布は比較的よく保たれている. 2 次中心差分で発生したような波 も生じない. しかし上流差分による数値拡散が時間とともに無視できなく なる.

続いて補正係数をきちんと毎ステップ計算するようにして同様の計算を 行なった. 1 回転後(628ステップ)と 3 回転後(1884ステップ)後の結果 をFig.10とFig.11にそれぞれ示す. 全体的に数 値拡散は抑えられているが, 山の頂上付近が削られてしまい ``clipping''と呼ばれる現象が回避できていないことを示している.

図 8: 補正係数一定の FCT による計算. 1 回転(628ステップ)後の結果.
図 9: 補正係数一定の FCT による計算. 3 回転(1884ステップ)後の結果.
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct1.ps}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct2.ps}
\end{center} \end{figure}

図 10: FCT による計算. 1回転(628ステップ)後の結果.
図 11: FCT による計算. 3回転(1884ステップ)後の結果.
\begin{figure}\begin{center}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct3.ps}
\Depsf[][80mm]{ps-fig/fct4.ps}
\end{center} \end{figure}


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Odaka Masatsugu 平成18年2月10日