まとめ

GAVE が多次元データを解析するために便利なソフトウェアの1つであることを示した.

GAVE は多次元データの解析に不慣れな人でも十分に機能を利用できるソフトウェアである. 近年の地球流体のデータを取り巻く環境の変化によって, これまで多次元データを解析する機会が少なかった人も解析する機会が増えると思われる. そうなると誰でも手軽に利用できるソフトウェアが重要になる. GAVE は GUI であるため CUI のソフトウェアに比べて機能を把握しやすい. 日本語に対応しているため, 日本人であれば更に機能を把握しやすい. よって GAVE の使用方法を学ぶために労力をあまり必要としない. また, Red Hat Linux, Debian Linux など一部の環境であればインストールパッケージを利用して手軽にインストールすることができる(付録A 参照). したがって, GAVE は導入しやすいソフトウェアであると言える. また本文では特に触れていないのだが GAVE は無償のソフトウェアである. このことは気軽に導入することができる要因となるだろう.

GAVE は, 多次元データの解析を既に他のソフトウェアやライブラリを用いて行っている人にとっても非常に便利なソフトウェアである. まずデータから特徴を明確に描画するために指向錯誤しながら修正を行う作業を非常に手軽にできる. GUI によって, 可視化における変数の選択や修正を対話的に行うことができるためである. また, GAVE はソースが公開され改変も可能であるため各々求める機能を加えることができる. GAVE が利用しているライブラリ(詳細は付録C 参照)も同様にソースが公開され改変も可能であるためこれらのライブラリの機能から拡張することもできる. これらのライブラリとは電脳 Ruby プロジェクトで開発されているライブラリであり汎用言語である Ruby で記述してあるために拡張性が高い(Ruby については付録B 参照). また, GAVE はスクリプト作成支援ツールとして使うことができる. 可視化した手順を Ruby スクリプトとして保存することができるためである. データファイルとスクリプトから可視化を再現することができるだけでなく, このスクリプトを雛型として利用することで, 解析スクリプトを手軽に作成することができる.

以上のように GAVE には幅広い活用方法があるソフトウェアである.