モデル 目次 標準実験

実験の設定

「水惑星」モデルの中では全球は表面温度が時間に依存しない海洋に 覆われている. 暖水域を赤道上に置いた場合, 北緯 10 度に置いた場合, 暖水域が無い 場合の 3 つの場合についての降水分布を比較したい.

基本海面温度分布は Numaguti (1993) で用いられた設定と同じである. 赤道での海面温度は 301 K で, 赤道をから南および北に 7 度にわたって 一定値を保っている. 局所暖水域の形は長方形で, 東西に 40 度南北に 20 度の広さがある. この暖水域の中心にあるピーク値は +4 K である(図 1). この中心を赤道に置いた場合について, 北緯 10 度に置いた場合について 得られる降水分布を見る. ただし, 格子点の位置の関係により赤道に置いた暖水域の最大値は +3.4K(図2(a)), 北緯 10 度に置いた暖水域の最大値は +3.7 K となっている(図2(b)).

(a) (b)
図 1. 海面温度の設定(K). (a) 赤道に暖水域を置いた場合. (b) 赤道外(北緯 10 度)に暖水域を置いた場合.

(a). (b).
図 2. 暖水域の形状. (K). (a). 赤道に暖水域を設けた実験の場合の海面温度から暖水域を設け 無い場合の海面温度を引き算した. 横軸が緯度になっているが南緯 30 度 から北緯 30 度までであることに注意. (b). 北緯 10 度に暖水域を設けた実験の場合の海面温度から暖水域 を設け無い場合の海面温度を引き算した.

暖水域を設けない実験を標準実験と呼び A0 と記す. A0 のデータは静止等温大気から 1000 日まで積分したなかから 400 日目から 1000 日目までの 600 日間のデータを用いる. A0 実験の 400 日目を初期値として赤道に暖水域を導入し, さらに 600 日間積分した. この実験を A4 と記し使用するデータは 暖水域を導入してから 600 日間のデータの内, 200 日目から 600 日目 までのデータを用いる. A4 実験を初期値を変えて 50 日積分を 128 試行行いアンサンブル平均 した実験を A4x128 と記す( Hayashi et. al. (1999), Toyoda et. al. (1999) ). 静止等温大気から 1000 日積分されたデータを初期値として 北緯 10 度に暖水域を設け 600 日間積分した実験を A4N10 と記す. 解析したデータは 600 日間のデータの内, 200 日目から 600 日目 までである. A4x128 のアンサンブル実験以外のデータについては特に断わりのない 限り使用した期間の長時間積分データについて実験略称名を用いる. つまり A0 とは 600 日平均データ, A4 および A4N10 は 400 日平均 データを指す.