研究してたこと、してること、したいこと

はしもとじょーじ
Last Updated on 30 June, 2005.



5.金星気候システムのコントロールメカニズム
  [阿部助教授(東大・理)との共同研究]

 大気と惑星表面の化学反応と雲アルベドの結合によるフィードバックが金星の地表温度を一定に保つという、新しい気候コントロールのメカニズムを提案した.金星の雲をつくっている硫酸は光化学反応によって二酸化硫黄が酸化されることによって生成しているため、大気中の二酸化硫黄濃度と雲は密接に関連していると考えられる.一方、金星大気中で観測される二酸化硫黄の濃度は固体表面にあるパイライト・マグネタイトとの化学平衡(3FeS2 + 16CO2 = Fe3O4 + 6SO2 + 16CO)にあると考えられる.そこで大気と惑星表面の化学反応と雲アルベド・温室効果を結合した金星気候モデルを構築して気候状態を検討したところ、化学反応と雲アルベドの結合によるフィードバックが気候を安定化し太陽光度や大気量の変動による地表温度の変化が小さく抑えられることが示された.

Hashimoto, G.L., and Y. Abe (2005) Climate control on Venus: comparison of the carbonate and pyrite models, Planet. Space Sci., 53, 839-848. Link
Hashimoto, G.L., and Y. Abe (2000) Stabilization of Venus' climate by a chemical-albedo feedback, Earth Planet Space, 52, 197-202. Link
はしもとじょーじ、阿部豊 (1998) 金星の大気・地殻の化学相互作用、日本惑星科学会誌・遊星人、7, 109-114.



George L. HASHIMOTO