放射MTGメモ(2017/08/17)

参加者

  • 倉本圭, はしもとじょーじ, 石渡正樹, 高橋芳幸, 高橋康人

木星大気モデルの開発 (高橋康)

  • 幾何アルベド計算の検証
    • TS法とSF法の比較
      • 波長 1um での opacity とフラックスからの考察
        • 粒子のある層でずれる → レイリー散乱ではほぼ一致するので非等方因子の扱いが原因だろう
        • どう直すべきか? あるいは直さずにどう説明するべきか?
    • 不自然な値の発生
      • 例えば雲ファクタ3・着色物質ファクタ0.1で計算した場合の 13880cm-1のアルベド
        • 大気モデルによって値が発生する波長も変わる
        • この例だと cosSZA=0.763 のときのみ放射強度が極端に大きくなる
        • このときの光学パラメータ@13870-13890cm-1を比べてみると、ほとんど値が同じにもかかわらず 13880cm-1 のみフラックスが異常な値になっている。現時点で原因は不明
  • 幾何アルベドを用いた考察
    • 一部吸収帯における観測とモデルのアルベドコントラスト不一致
      • 雲頂高度を変えた計算
        • 雲頂高度を下げれば十分に吸収できる
        • しかしGAコントラストはあまり変わらないため、現状の杉山雲モデルをベースにする限り合わせるのは難しいだろう
      • 方針
        • 本モデルの性質として示すのみでこれ以上は調べない
    • ベストモデルの構築
      • 最小二乗法による雲密度ファクターと着色物質密度ファクターの決定
        • 雲密度は概ね決まるが着色物質の残差二乗和はあまり性質が良くない
        • 特定のファクターのときに値が大きくずれているようであり、不自然な値の発生に関連していると考えられる
  • コメント
    • SF法
      • コーディングのバグの確認
        • 特に非等方因子を含む項の符号に間違いがないか
        • YやΓの項で正負に不整合が出ないかを出力してみる
      • 定式化における位相関数の積分
        • ガウス求積法などを用いたより厳密な計算ではないため、散乱光の天頂角依存性は簡略化されている
        • この簡略化は熱放射の半球平均近似では問題無いが、日射のエディトン近似でも有効かは定かではない
      • エディントン近似ではなく半球平均近似のままでよいのかもしれない
        • エディントン近似では二流近似の放射伝達方程式の係数γ2が負の値を取り得るため、条件によっては適切ではない
          • この問題点は Goody and Yung などでも触れられており注意喚起されている
        • 直達光はエディントン近似で解くが、散乱光は半球平均近似の方が適していると思われる
          • おそらくエディントン近似は直達光を含めてのエネルギー保存を考慮しているため、散乱光だけを考えた場合はつじつまが合わなくなるのではないか?
    • TS法
      • 上端でのフラックスを等方散乱と仮定すれば得られる
        • エディントン近似でも天頂角に cos をかけているだけなのでほぼ同じ結果になるはず
      • こちらのやり方ならエネルギー収支との整合性も保たれる
        • ただしSF法のように特定の天頂角方向の放射強度は計算していない分だけ精度は下がる
    • 最小二乗法によるモデル評価
      • 厳密に考えれば、移動平均は観測チャンネルの幅に基づいて決めるべきだろう
      • アルベドは0~1 なので残差二乗和は1より小さくなるはずだが、そうなっていない波長がある

DCPAM 放射モデルの開発 (高橋芳)

  • 現行モデルとLBLRTMの不一致
    • H2O 線吸収だけの場合でもまだ不一致がみられる
      • ウィング部分の吸収量に差がある
    • 単一の吸収線だけをみると、ウィングに対して2次関数のフィルターがかかっているようにみえる
    • これを考慮して再度比較すると全体的に一致に近づいた
      • ただし完全には解消されていない
  • mtg 資料

次回の日程

  • 2017/08/30 (水) 17:00-